第10回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第10回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    直狐狐文の記録 ~千足古墳石障保護措置~
    岡山県岡山市
    選評

    これは一大文化財保護プロジェクトの詳細な記録である。
    岡山市にある千足古墳は,その石壁(石障)に描かれた直狐紋と呼ばれる独特の装飾で知られてきたが、過去の盗掘跡から流れ込んだ雨水に浸かり、大きく損傷している事が判った。
    そのため岡山市では痛んだ石障を取り出して保存する計画を立て、文化庁の許可を取って修理に着手したのである。
    キトラ古墳や高松塚古墳の例を出すまでもなく、古代の遺跡は大規模な調査や保護のための修理を行った時から、皮肉にも激しい破壊が始まる。文化財にとっては人間との接触が最大の破壊のリスクなのである。それだけに修理は細心の注意をもって進められた。特に狭い石室の中から重い石の板を取り出す作業は困難を極める上に、石室の素材が弱い砂岩という条件が加わる。そのためさまざまな治具と呼ばれる特殊な道具が考え出され、原寸大の模型を使って何回も予行演習が繰り返された。当然古墳付近の活動は制限され、修理の作業を進める人と撮影隊の利害は一致しないことが多い。
    こうした中での記録・撮影がいかに過酷で難しいか、実際に携わったことのない人には想像もつかないだろう。
    そうした厳しい条件の下で、カメラはひたすら撮影対象に肉迫する。良くここまで取材が出来たと感動するばかりである

    映像プロデューサー  加藤 辿
    直狐狐文の記録 ~千足古墳石障保護措置~
    作品時間:59分10秒 (1M)
  • 優秀賞
    踊る江戸川区登録無形文化財 篠崎本郷獅子もみ祭り
    東京都江戸川区
    選評

    この作品は東京都江戸川区の東部、篠崎本郷地区に江戸時代から伝わる獅子もみ行事を紹介したものであります。
    この行事は毎年7月中旬に行われ雌雄一対の獅子頭を“もむ”(上下にゆする)ことでお祓いをしながら地区内を練り歩き疫病退散や無病息災を祈願するおまつりです。このまつりは昭和40年代に一度は途絶えたものの若者たちの情熱で復活しました。それ以来小さく地味できついこのまつりは地域住民の熱意で30年以上も続いています。特徴は地区の400軒以上の住民の家を一軒一軒回り厄払いをすることにあります。
     このことによって地域の住民の絆が深まり郷土愛が強まります。作品に登場する人々の顔は明るく子供たちの笑顔がまぶしく輝いています。構成・撮影技術が優れまつりの魅力を十分に伝えています。作品を通して地域住民の伝統文化を未来に伝えようとする姿勢が感動を持って伝わってくる秀作であります。

    プロデューサー  澁谷康生
    踊る江戸川区登録無形文化財 篠崎本郷獅子もみ祭り
    作品時間:27分00秒 (1M)
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    田原の伝統文化「田原凧」
    愛知県田原市
    選評

    田原凧は、江戸時代より続く伝統の凧であり、男子の生まれた祝に凧を贈り、端午の節句に揚げる「初凧」と、勇敢に糸を切り合う「けんか凧」が名物である。
    渥美半島に追い風の吹く5月、祭りの初日に初凧揚げを行い、翌日はけんか凧合戦が行われる。風の強い地域独特の祭りである。  作品は伝統の凧を制作する人々、初孫を授かった家の喜び、糸を切り合うための仕掛け、勇壮な凧合戦、切れた凧を持ってくる子ども達にはご褒美が出るなど、地域が一体となって伝統行事に取り組む様子が、丁寧に微笑ましく描かれている。  
    また、田原藩士であり、後に家老となった渡辺崋山が描く凧絵も保存されているなど、文化財の保存にも役立っている様子が良く伝えられている作品である。

    地域文化アーカイブス理事長  高島秀之
    田原の伝統文化「田原凧」
    作品時間:15分00秒 (1M)
  • 審査員特別賞
    赤松荒神祭
    鳥取県大山町
    選評

    350年続くお祭り。五穀豊穣と子孫繁栄を祈り、藁で大蛇(全長21メートル、重量1トン!)を地区の全ての家が参加して作り、神社に奉納するというもの。  
    まずは経験豊富な年長者が持つ、藁細工のノウハウが印象的。総勢60名が二日がかりで藁と格闘する姿が微笑ましい。若い世代も参加し、継承していく事を当たり前のように語る姿を見て、長い年月の間、淡々と続けてこられた訳を何となく感じた。  
    おもしろいと思ったのは、その地区の家に婿入りした男性を重要な担ぎ手として重用、それが子孫繁栄を表しているという。4年に一度行われるこの祭りが、地区の結束を確認する場になっているということと合わせて、この一見素朴なお祭りが、共同体を維持していくための重要な役割を担っている事を教えてくれる。

    (株)NHKエンタープライズ
    エグゼクティブチーフ・プロデューサー
    寺田一教
    赤松荒神祭
    作品時間:11分30秒 (1M)
  • 奨励賞
    獅子狂言「梅川」
    選評

     これまで厄払い、疫病払いとして数多くの獅子舞を見てきました。今年の入賞作品にも獅子祭りの作品があります。
    しかしこの須坂市村山神楽保存会「梅川」は近松門左衛門の三大傑作「冥土の飛脚」を獅子舞にした珍しい作品です。明治初年から上演されているとのことですが、近松浄瑠璃が何故このような獅子舞になったのでしょうか、詳しく知りたいところです。  
    映像作品は中学生、高校生、大人のそれぞれの獅子舞を丁寧に記録しています。中学生はまだ踊りの型を覚えるのに精一杯ですが、高校生となればそれなりの舞となります。一方、諏訪神社での「梅川」は身振り手振りなどで悲恋の哀しさ切なさを見事に表現しています。

    株式会社メディア開発綜研 取締役会長 菊地 実
    獅子狂言「梅川」
    作品時間:45分00秒 (1M)
戻る
page top
トップページへ戻る