第14回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第14回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    「国宝松本城ものがたり」~城を救い守り続ける人々~
    長野県松本市
    選評

     築城当時の天守閣がそのまま残っている城として有名で、国宝に指定されている松本城は我が国でもっとも人気の高い城の一つだが、明治時代にその天守閣の一部が競売にかけられ、失われようとしたことを知る人は意外に少ない。
     本作品の前半は、この時代に城の買い戻し運動に奔走した市川良造と、荒れ果てた城の修理に功績のあった小林有也にスポットをあて、後半では市民を巻き込んだ保存の活動を紹介している。中学生の落ち葉掃きや小学生の床磨きはよく知られているが、年2回の漆塗りなど初めて見るものも多く、国宝の維持管理がこうした地味な作業に支えられていることを知って勉強になった。
     本作品は、子供向けを意識してアニメを多用するなど表現的にも工夫してあり、細切れ的な内容にもかかわらす、その印象はあまり強くない。地域学習の好感持てる教材である。

    映像プロデューサー 加藤 辿
    「国宝松本城ものがたり」~城を救い守り続ける人々~
    作品時間:20分9秒 (1M)
  • 優秀賞
    「とぅむしぬシーシ」~友寄の獅子加那志~
    沖縄県 八重瀬町
    選評

     この作品は沖縄本島南部の友寄に代々伝わる獅子舞を通して友寄の人々の心を描いた作品である。友寄の人々は琉球王から拝領した名工の作品獅子頭を守り神として長く大切に保存してきた。だがこの獅子頭・獅子加那志は悲惨な沖縄戦の混乱の中で紛失してしまった。人々の熱い想いで2代目が制作されたのは1968年のことである。以後毎年8月15日夜に獅子舞が演じられている。作品では見事な獅子舞の演技が棒術とともに紹介されている。踊る獅子は勇壮かつ愛らしく見る人の心を魅了してやまない。それはまるで生ある獅子のようである。おもわず獅子に愛着を覚える。ラストの平和記念像の前で踊る獅子舞は勇壮で幻想的で感動的である。それには片寄の人々の全ての魂の安らぎを強く願う気持ちが込められている。友寄の人々の心が伝わってくる秀作である。

    プロデューサー 澁谷康生
    「とぅむしぬシーシ」~友寄の獅子加那志~
    作品時間:41分30秒
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    「とやま鉄道物語」~とやまの近代化と鉄道の発展~
    富山県民生涯学習カレッジ  映像センター課
    選評

     北陸新幹線が開通して、富山に観光客が増加するなか、県内の鉄道にスポットをあてたタイムリーな企画でした。
     語り口や案内の補足資料「コラム」の挿入も、主題の理解を助けてくれました。富山県は湾を舞台に見立てると、劇場のような姿をしていますが、立山から富山湾に一気に注ぐ幾つもの急流があり、いずれも巨石がゴロゴロしているあばれ川です。作品を通して、そのような地形を克服して、鉄道を敷設した先人の苦労を偲ぶことができます。
     以前、富山のクスリ売りを特集したカレッジ制作の作品がありましたが、このような記録を丹念に整理して保存しておく作業は、地域のアーカイブズとしても重要なことだと思います。
     私もNHK富山放送局に勤務、在住したことがありますが、今さらながら、網の目のように敷設された富山県の鉄道網には驚かされました。これほどの鉄道を地域の公共の足として保持される苦労は如何ばかりかと思い致しております。
     最後に質問ですが、「富山」でなくて「とやま」としているのはどのような理由があるのでしょうか?私も「とやまふるさと大使」に任命されておりますが、やはり「とやま」です。但し、ふるさと大使とこの理事長賞とは無関係で、審査員の投票の結果であります。

    メディアプロデューサー 高島秀之
    「とやま鉄道物語」~とやまの近代化と鉄道の発展~
    作品時間:26分32秒
  • 審査員特別賞
    「水戸日本遺産紀行」~受け継がれし学びの精神と礼の心~
    茨城県 教育遺産世界遺産登録推進協議会
    選評

     江戸時代、武士、庶民を問わず日本の教育水準は高く、明治以降の日本飛躍の原動力となったことは広く知られている。
     本作品は、その証として、平成27年に日本遺産に認定された「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源」の構成文化財のうち水戸市に関係するものを映像化したものである。
     徳川斉昭が創建した藩校「弘道館」では、文武一致の精神のもと、儒学の講義等が行われたが、その伝統を受け継いだ論語塾や少年剣道が生き生きと映し出され、歴史が今に息づくさまを描き出している。対する「偕楽園」は、学業休息の庭園で、詩歌や慰安の会が催された。また、身分を問わず門戸を開放した私塾があった「日新塾跡」や徳川光圀の命により編纂され、明治初期に完成を見た歴史書「大日本史」とその編さん所があった「水戸彰考館跡」の歴史が語られる。
     本作品は、学問と礼節を重んじる日本の国民性について明快に示すとともに、美しい水戸の景観を写し、観光振興や国際化への配慮もなされている。

    地域文化アーカイブス副理事長 濱田一成
    「水戸日本遺産紀行」~受け継がれし学びの精神と礼の心~
    作品時間:11分6秒
  • 奨励賞
    落合西光寺双盤念仏
    埼玉県飯能市
    選評

     「鉦や太鼓を鳴らす」という言葉や風景もお祭り以外ではすっかりご無沙汰になった。
     東京近郊、通勤圏に位置する埼玉県飯能市で太鼓1張、鉦4枚を使った双盤念仏を維持する活動が行われている。この独特な演奏付き念仏は1800年頃浅草寺から伝わったもので江戸近郊農村各地で盛んに行われてきた。時代の変遷や戦時中の金属供出で落合西光寺の双盤念仏も一時中断された。本作品はその復活と伝承活動を丹念に記録した映像作品。
     太鼓や鉦の演奏は簡単にみえるがテンポ、リズム、ハーモニーを合わせるのは意外に難しく、演奏者の苦労も多い。地元に伝わった芸能を維持する事も大変な事がわかる。練習には過去の演奏者のビデオ映像記録が役立っている。はっきりいって昔の演奏者の桴捌きはかなり個性的で現在のものより水準が高く思えた。
     手前味噌になるが映像アーカイブの「記録」「伝承」「教育」という役割がここに見られる。

    株式会社メディア開発綜研 菊地 実
    落合西光寺双盤念仏
    作品時間:29分57秒
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