第16回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第16回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    とやまの曳山 “世界の宝”を守り続ける
    富山県
    選評

    この作品は富山県の24の曳山祭を描いた作品である。“世界の宝”ともいうべき“曳山祭”を克明に紹介する作品は伝統文化の保存・継承という面から極めて重要な意味を持つ。作品から郷土の人々のこの祭りに誇りを持ち守り続けて次代に継承していきたいという情熱が強く伝わってくる。まず、個性的な各地域の壮麗で雄大な曳山の美しさに目を奪われる。作品では高岡市の「高岡御車山祭」を始めとして各地域の個性的な曳山の美しさを描き出していく。そしてこの行事の詳細も紹介される。その中には「子供歌舞伎型」、「花山型」、「築山」、「屋台型」など曳山の様式が紹介されその個性豊かな美しさに心を打たれる。この祭りこそ地域の連帯感を生みだすものだという地域の人々の言葉は深い共感を呼ぶ。400年続いてきたこの行事を後世につたえることに地域の人々は様々な努力を惜しまない。経済的負担、後継者の育成など様々な困難が立ちふさがっている。しかし困難を乗り越えて継続していきたいという人々の祭りを愛する気持ちが強く伝わってくる作品である。

    プロデューサー 澁谷康生
    とやまの曳山 “世界の宝”を守り続ける
    作品時間:32分45秒 (1M)
  • 優秀賞
    弥生・土製鋳型を造る 「須玖タカウタ遺跡 土製鋳型再現実験」
    福岡県
    選評

     今、考古学はハイテク技術によって大きく変化をしている。科学技術分析で得られたデータをもとに実験考古学という新たな分野が開拓されつつある。
     福岡県春日市は弥生遺跡の宝庫。「後漢書」に出てくる奴国の中心地と推定されている。平成26年須玖タカウタ遺跡から多数の石製鋳型に混じって土製鋳型が出土した。これまで青銅器は石製鋳型で製造されていたと考えられており土製鋳型は新たな発見だった。この土製鋳型で青銅器製造に挑戦した記録映像が本作品である。
     医療で活躍しているCTスキャン(コンピュータ・トモグラフィ)は実験考古学でも大きな威力を発揮している。CT断層写真により土製鋳型の内部構造が明らかになり、委員会の指導の元に復元が試みられた。復元は大鐘製造で知られる芦屋の著名鋳物作家に委託された。使用する土は成分分析から地元の土を使用。様々な試行錯誤から青銅を1200度で溶かす。実験には北九州教育大学など多くの機関・設備が動員される。実験考古学も間口も奥が深い。
     さて、解けた青銅を土製鋳型に注いで時間をおいて冷まして取り出す。結果は残念、青銅が熱すぎ、同時に土製鋳型が弱すぎた為か、鋳物は流れ、銅鉾はうまく整形出来なかった。しかし正直に失敗を見せるのは企画として偉いと思う!結局二度目のリベンジ。青銅溶解温度を下げ、鉄製鎹で土製鋳型を補強してチャレンジし、今度は見事な青銅銅鉾が出来上がった。
     研究者による青銅・土の成分分析と匠の技を持つ鋳物作家のコラボが見事に結果を出した。ところで、弥生時代に鉄製鎹はあったのだろうか。

    ㈱メディア開発綜研 特任研究員 菊地実
    弥生・土製鋳型を造る 「須玖タカウタ遺跡 土製鋳型再現実験」
    作品時間:40分 (1M)
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    日本遺産 足利学校 ~日本最古の学校・知の遺産~
    栃木県
    選評

     製作した協議会は4市(足利市、水戸市、備前市、日田市)で構成され、今回の応募は足利学校に焦点をあてたもので、国の補助を得ており、映像は4K画質、4ヶ国語に対応している。
     日本最古の學校である足利学校は「知の宝庫」としての役割を果たした。建物は復元であるが、紹介された保存されている漢籍などは極めて重要な世界遺産であることが確認できた。構成は丁寧であり、貴重な文化財を紹介するに相応しい作品であった。
     このコンクールには極めて長尺の作品が寄せられることが多いが、このように15分に満たない作品は稀である。製作者や当事者の自己満足ではなく、コンパクトにその意義を紹介することも記録としては大切である。冗長な作品群を観るにつけ、このような製作姿勢に好感が持てた。
     個人的には、儒教の伝来など大切な史料を拝見でき、足を運んでみようと思った。アーカイブズの賞に相応しい作品である。ただ、こうした作品は静止画で対応するのも予算の絡みから必要に思えた。

    地域文化アーカイブス理事長 高島秀之
    日本遺産 足利学校 ~日本最古の学校・知の遺産~
    作品時間:14分 (1M)
  • 審査員特別賞
    昔ばなしを語りつぐ ~立石憲利を追って~
    岡山県
    選評

     昔話や民話は、もともと各家庭においておおむね親から子へ、祖父母から孫へと語りつがれているものである。したがって、文章になっていたり、広く地域で共有されているものではない。家庭や地域の相違により全国には無数の昔話や民話がある。
     岡山県総社市に住む立石憲利氏は、人類の文化遺産ともいわれる民話の採録、語り、本の出版、語り手の養成、語りの会の活動に努めてこられた。
     その飽くなき情熱と膨大で質の高い実績について立石氏本人の語り、活動を中心に記録したものが本作品である。
     氏の活動は、高校時代の民話の調査・研究から始まり傘寿を迎えてなお続けられており、全国で約9000話の民話を採録した。民話を知っている人を探し出し、現地に出向いて語ってもらって収録するなどの苦労の姿も収録されている。
    1980年ころより民話の語りをはじめ、各地で多くの方に語りを行ってきた。また、2000年からは語り手養成のための「立石おじさんの語りの学校」を各地で開催し、受講生は約1000人になっている。氏の児童・生徒への語りの様子や「語りの学校」の受講者の発表や卒業生の活動も撮影され、生の言葉で相手の顔を見て話をすることが今の世の中では大切であるとし、暮らしの中での継承の必要性が強調されており、今後の民話を伝えていく活動の広がりへの刺激になると思われる。

    地域文化アーカイブス副理事長 濱田一成
    昔ばなしを語りつぐ ~立石憲利を追って~
    作品時間:59分 (1M)
  • 梶原拓記念奨励賞
    国選択無形民俗文化財 大捻縄引き
    栃木県
    選評

    大田原市佐良土地区では、古くから大繩を使った綱引きが行われてきた。
    勝った方には、豊作・無病息災・家内安全などが約されると言われ、真剣に綱を引いた。古くは1529年に奥州岩城氏と福原城主那須氏との合戦で、崖の綱を双方が引き合ったことから始まったとされる。最近行われてこなかったが、若手から復活の声が上がり、自治会長に要望書を上げたところ、地区の活性化委員会がこれを取り上げ、実行委員会を立ち上げることとなった。その組織つくりと団結力、またその実行力は、今日、都会やその周辺ではなかなか見られないように思われる。
     普通縄は綯う(なう)というが、捩る(みじる)というのは珍しく、「大捻縄引き」となった。普通、縄は水平に置いて綯うが、太さがゆえに子の綱は、縦に捩じって作るしかなく、櫓が必要なことも良く分かった。またこの「綱捩じり」は大変な作業で、手の皮がむけてしまう。大綱が完成し、夜には大捩綱引きが行われる。最初、引手の分け方や引き方について、そのルールがよくわからなかったが、片方が引くときにはもぅ一方は引かずに抑え込むという方法のようだ。これは文化であって、競技ではないのだから曖昧さがあってよいのであろう。この作品は全編に亘り、「大捻縄引き」をよく伝えていて、その熱気が伝わるようだ。

    地域文化アーカイブス事務局
    国選択無形民俗文化財 大捻縄引き
    作品時間:65分 (1M)
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