第17回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第17回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    とやまの川の物語
    富山県
    選評

    富山県は川の県である。この県には北アルプスなど高い山脈から流れ出す急流が数多く流れている。この作品は富山県の川と人々の結びつきを描いたもので川の歴史は人々の歴史でもあるという観点が作品に浮き彫りにされている。川は人々に優しく恩恵を与えてくれるが時には凶暴な洪水となって人々に襲い掛かる。作品では川を通して富山県の文化、伝統、教育、教養を描き出している。富山県では川の治水が最大の問題である。
    川は上水・水力発電・工業用水等、様々な恩恵を与えてくれるが時には洪水となって人々の生活を破壊する。人々にとって如何に川と共存すかが課題である。作品では人々が治水に取り組む苦闘に焦点を当てている。美しい川を守り川と共存するための人々の懸命な努力は人々の川に対する愛情がにじみ出ている。全編を通して優れた美しい映像は迫力をもって迫ってくる。作品を通して貴重な古絵図、アーカイブ映像を集積して富山の歴史や文化を立体的に描いた作品である。川の物語はこれからも続いていく・・・。人々の川へ思いが伝わってくる感銘深い作品である。

    プロデューサー 澁谷康生
    とやまの川の物語
    作品時間:31:38 (1M)
  • 優秀賞
    羽州街道をゆく ~歩いて発見!秋田市・歴史文化遺産~
    秋田県
    選評

    奥州街道福島県桑折から分岐、宮城・山形・秋田をへて青森県・油川に至る羽州街道は江戸期の大動脈。その羽州街道を秋田市内と外港土崎を中心に江戸期と現在の姿を比較している。市内は城下町らしく武家地・寺町・町家に区分され街道は町家部分を貫いている。市内の街道沿いに旧金子住宅をはじめ貴重な商家町家がいくつも残されている。藩の政策で街道沿い町家を二階建とした見栄も微笑ましい。奥行の長い金子住宅の内蔵構造は堅固。明治19年大火でも蔵だけが残り呉服商売が継続できたという。それにしてもどの町家も内部の立派さに驚かされる。江戸期久保田藩士が描いた「秋田街道絵巻」を中心として建築、寺社、祭礼、名物が過不足なく紹介されている。一部で街道は不明になるがその推定も面白い。久保田藩/佐竹家は羽州街道で江戸と、土崎を通じて海運で上方と密接に結びついていた。多くの残された祭りも京都風+東北土着の二つの流れが感じられる。今や定番になったドローン撮影やデジタル映像処理もさりげなく、ナビゲーターも控えめで秋田の風土文化をよくまとめている。

    ㈱メディア開発綜研 特任研究員 菊地実
    羽州街道をゆく ~歩いて発見!秋田市・歴史文化遺産~
    作品時間:53:10 (1M)
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    国指定重要無形民俗文化財 等覚寺(とかくじ)の松会(まつえ)
    福岡県
    選評

    苅田町は北九州空港や国際貿易港を抱えた北九州の工業地帯にあり、人口が急増している町である。しかるに本作品で紹介される祭礼行事を担う等覚寺地区は、小さな盆地にわずかな田畑がある13戸20人の区でしかない。そして、祭礼の行われる白山多賀神社は町の中心部から遠い山中にある。都市化、工業化の波に洗われる中、ポツンと残る集落がその祭りを支えて、今では高齢化による農業従事者の不足で行事に使う藁さえ手に入らない状況だという。
    祭礼は英彦山の修験道の五穀豊穣を祈るもので、クライマックスは真剣を使って「弊」を切る所作であり、この地だけに残る貴重な行事となっている。
    このような国指定の重要無形文化財を教育委員会が記録したこと自体意義深いものがある。祭りが存続されることを祈りたい。

    地域文化アーカイブス理事長 高島秀之
    国指定重要無形民俗文化財 等覚寺(とかくじ)の松会(まつえ)
    作品時間:14:10 (1M)
  • 審査員特別賞
    大宰府史跡発掘50年 「大宰府史跡ものがたり」
    福岡県
    選評

    千三百年もの昔、太宰府には、地方最大の役所、大宰府政庁が置かれ、九州全体を治めるとともに、外交的にも重要な役割を果たした。時は流れ、五十年ほど前には礎石を残すのみとなっており、昭和半ばの高度経済成長期には、この史跡の周辺にも住宅開発が迫り、国・県は史跡を景観とともに守るため、指定地の大幅な拡張を図った。全国各地で起こることであるが、史跡の保存か住民の生活水準の維持とか開発への期待との葛藤がこの地でも生じた。1968年に発掘調査が始まり、地域の人たちと発掘をすすめ、そのうち木簡、瓦等が出土し、従来の歴史を覆す発見が続いた。大宰府史跡の重要性が明らかになると、次第に住民の心が動かされ、史跡は保存への道を歩んでいくこととなった。
    その後、史跡地には「史跡解説」「植栽ボランティア」など多くの市民活動が花開き、大宰府は「史跡のまち」となって、令和の時代を迎えた。
    この作品は、悠久の時が流れる史跡が現在の姿になるまでの経緯を美しい風景とともに映し出している。次世代を担う子供たちに、郷土資料の理解と地域づくりの教育資料として活用されていることも、また大いに意味のあることである。

    地域文化アーカイブス副理事長 濱田一成
    大宰府史跡発掘50年 「大宰府史跡ものがたり」
    作品時間:10:00 (1M)
  • 梶原拓記念奨励賞
    新発田市立歴史図書館ガイダンス映像
    新潟県
    選評

    「新発田の歴史」から「蒲原平野の干拓」まで5部構成の本映像は、館内でのプロデュース・編集で制作されたとの事、大変よく纏められている。新発田の地が古書にある「越」の国から「越後」の国と呼ばれるようになったのが飛鳥時代であったと教えられ、長年の興味に解が与えられた。この地における歴史上重要な人物は、地頭となった佐々木盛綱や尾張出身で信長に派遣された溝口秀勝であり、溝口家は明治の廃藩置県まで、270年に及び統治したとある。また堀部安兵衛武庸がご当地出身であったことも興味深かった。また、ご当地の「義士祭」に参加する少年少女は」「敵討ち」「助太刀」とか「赤穂浪士の討ち入り」にどのような知識とか考え方を持っているのか、知りたいところでもある。
    この地には縄文時代から人が住んでいたというが、農業地となるための治水事業に関して大変な努力がなされたことも映像からよく理解される。木曽、長良、揖斐川の三川下流で育った私は、小さい時から、治水にまつわる話をたくさん聞かされたこともあって、人ごととは思えない感想を持った。
    今回は、当コンクールでの受賞、誠におめでとうございました。

    地域文化アーカイブス事務局
    新発田市立歴史図書館ガイダンス映像
    作品時間:44:37 (1M)
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