第18回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第18回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    整備記録映像「蘇る天守台」
    奈良県大和郡山市
    選評

    戦国時代、今から440年前、大和郡山市には筒井順慶・豊臣秀長によって築城された壮麗な大和郡山城が聳え立っていた。江戸時代に入るとこの城は一旦廃城になり荒廃が進んだ。
    だが、この城の天守台は明治・大正・昭和の激動期を乗り越えその壮麗な石垣は地域の人々の誇りであった。だが、平成時代に入るとその石垣は老朽化し、崩落の危機に直面した。
    この作品は平成25年から始まり4年の歳月をかけて修復した天守台の再生・展望施設の整備を記録した貴重な映像である。まず、石垣の解体作業の中で様々な謎が解明された。
    石垣には豊臣時代の象徴である金箔瓦が出土した。このことによって郡山城の築城は豊臣期のものであることが判明した。また石垣に使われた転用石材から築城期の地域の文化が浮かび上がり興味が尽きない。完成した天守台は豊臣期の石工と現代の石工の技が溶け合った見事なものである。その姿から大和郡山市の人々の郷土愛と文化を次世代に伝えたいという気持ちが強く伝わってくる。秀作である。

    プロデューサー 澁谷康生
    整備記録映像「蘇る天守台」
    作品時間:25:00 (1M)
  • 優秀賞
    諏方神社の年中行事と芸能 日暮里式「江戸の里神楽」松本社中
    東京都荒川区教育委員会
    選評

    里神楽は古い神事で、能狂言歌舞伎の源流ともいわれている。道灌山から諏訪台は谷中上野の山に連なり由緒ある寺社が立ち並んでいる。江戸末の広重筑波山の浮世絵でも知られている。近くの学校からは富士山も見えた屈指の東京名所。西日暮里駅から階段で静かな諏方神社に至る。本作品は諏方神社節分/年中行事/として行われる里神楽を中心に「日暮里式」と言われる松本社中の活動を十年に渡って収録した貴重な記録。昭和八年二十七座あったと言われる里神楽は現在都内四座。松本社中の里神楽は滑稽な仕草に特徴。単に伝統を継承するだけでなく他の大衆芸能、日舞・太鼓持芸・獅子舞・大衆芝居とコラボし「今」を積極的に取り入れている。松本社中のルーツも面白い。明治初期、入り婿から現在五代目に至る。「難しいのは道化、もどきと馬鹿面が大切」という演技論も説得性がある。松本社中のいっそうの活躍を期待したい。
    なを映像製作の過程で軟派新聞記者・雑俳師匠として知られる鶯亭金升「明治の面影」記述や最後の太鼓持と言われる玉介師匠の名が登場しており、懐かしく感じた。

    (株)メディア開発綜研 特任研究員 菊地実
    諏方神社の年中行事と芸能 日暮里式「江戸の里神楽」松本社中
    作品時間:23:47 (1M)
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    五郎山古墳からみる黄泉の世界
    筑紫野市歴史博物館
    選評

    シリーズの2作目とある。前作に続いて今回は古代人の死生観について、古事記や出雲風土記を引用して、出雲の地までを取材した拡がりのある構成となっている。

    おそらくは3作、4作と継続的されるのであろう。それにしても石室内の壁画の色の鮮やかなこと、静止画の魅力が遺憾なく発揮されていた。英語版がついているのも親切である。

    折からエジプトではミイラが多数発掘されたというニュースもあった。古代へのロマンへ誘う小品ながらしっかりとした骨格の佳作である。

    こうした試みを継続される博物館の努力を高く評価したい。

    地域文化アーカイブス理事長 高島秀之
    五郎山古墳からみる黄泉の世界
    作品時間:18:00 (1M)
  • 審査員特別賞
    新時代を開く~藤井能三の近代遠望~
    富山県民生涯学習カレッジ
    選評

    いつも新企画の力作をご応募いただきまして有難うございます。これまでに「川」「曳山」「富山湾」「鉄道」「売薬」・・・と遡り、いずれも当コンクールの賞を獲得されました。今年も大変期待しながら作品を拝見しました。
    能三氏が生まれた明治初期は、日本を挙げての殖産興業の時代でした。能三氏は卓越した着眼、構想力を持った方で、確固たる事績を残した方ですが。こうした考え方の原動力は何処にあったのでしょう?
    廻船問屋に生まれた氏は、成長の段階から、北前船によるこれまでの交易をよく知悉し、またそれがそろそろ限界を迎えているのではないか等疑問があったのでは?それが神戸出張で一気に具現「できるのだ」と確信し、次々と革新的事業を突き進められたのでは。目前に観た蒸気船を活用、港湾の整備が必要となり着々と実行、灯台や測候所まで視野に入っていました。一方で人材育成や電力などのエネルギーの必要性をも見通され、氏は私財を投げ打ちこれらの実現に一生を捧げました。誠に地域の恩人として顕彰されるに相応しい方です。
    この作品はまた当時の資料を上手く活用され、映像として手堅くよく纏められ、またナレーションも親切で、県内だけでなく広く活用されるべき作品として推薦されます。

    地域文化アーカイブス事務局
    新時代を開く~藤井能三の近代遠望~
    作品時間:38:18 (1M)
  • 梶原拓記念奨励賞
    越北の鴻都 私塾長善館
    燕市教育委員会
    選評

    江戸時代の後期、越後長岡藩粟生津村(現在の燕市)に私塾である長善館が設置され、明治終期まで存続し、大きな足跡を残した。
    初代館主鈴木文臺が近隣の子弟を集めて漢学を教えたのが始まりであり、館の土台を作った。
    彼は、良寛をたびたび訪ね、その教え①困っている人を救う慈悲の心、②誰にでも親しく接する平等の心、③私利私欲を持たない公平無私の心を学び受け継いだといわれる。
    二代目館主は、孝経を最初に授けるとともに学問の実践運用を重んじた。
    館では、後には英語や数学も教えられるようになった。
    全寮制が採用され、人格の陶冶が行われた。当時の授業の様子を地元の高校生の主演で再現映像にし、臨場感を持たせている。

    文化勲章を受章した中国文学者の鈴木虎雄氏をはじめとする館出身の偉人の名と功績が紹介されている。
    長善館の功績を今に伝えるため跡地に燕市長善館史料館が設置されており、また市内の小中学校で長善タイムと名付けられた教育プログラム、小学6年生に対する未来のリーダー育成のための長善館学習塾、社会人向けの講座等を行う友の会などが設けられている。その取組みは、郷土の歴史を重んじ、人材育成につなげており、注目に値する。

    地域文化アーカイブス副理事長 濱田一成
    越北の鴻都 私塾長善館
    作品時間:11:52 (1M)
戻る
page top
トップページへ戻る