第5回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第5回全国地域映像コンクール受賞作品

審査員名簿(五十音順)

井上知義 総務省自治行政局地域情報政策室長
加藤 辿 映像プロデューサー
菊地 実 株式会社メディア開発綜研 代表取締役社長
澁谷康生 プロデューサー
寺田一教 (株)NHKエンタープライズ エグゼクティブプロデューサー
永井多恵子 NHK副会長
  • グランプリ
    2005年私たちの船旅~引き揚げ・過去から未来へ~
    選評

    島々に囲まれた美しい舞鶴港は、第二次大戦直後大勢の引揚者遺骨の受け入れ港だった歴史を持つ。この作品は、こうした地元の歴史の学習を通じて戦争を実感した子供たちのドキュメントである。
    海外引き揚げ60周年記念事業として行われたこの映画製作は、京都太秦の映画関係者や立命館大学も参加して行われただけに、資料収集からストーリーの展開やシナリオの構成、撮影技術にいたるまで、本格的で見事な映画に仕上がっている。地元の大浦小学校6年生18人全員が映画出演やナレーションに大活躍しているので、一見子供たち主導の映画作りのように見えるが、実は細部にまでプロの眼と腕が感じられる作品と言っていいであろう。
    1200年の歴史を持つ京都には記録すべき素材はいくらでもあろうが、こうした現代史にまで気を配って詳細な記録映像を制作しているのはすばらしいことである。引き揚げ体験を持つ評者には、思わずこみ上げてくるものがあった。

    映像プロデューサー 加藤 辿
    2005年私たちの船旅~引き揚げ・過去から未来へ~
    作品時間:30分45秒(1M)
  • 総務大臣賞
    ふるさと富山の偉人 石黒信由~江戸時代に精密な地図を作る~
    選評

    1760年、富山県射水市に生まれた石黒信由は、その旺盛な向学心から、和算を極めるにとどまらず測量術や天文歴学、時法を学び、36歳の時に加賀藩から縄張役(測量役人)を命じられる。以降、用水や河川の修築、新田開発事業のための絵図(地図)作製に従事するが、正確な地図の作製のために測量器具の開発等測量技術の研究を重ね、「加越能三州郡分略絵図」や「越中四郡村々組分絵図」といった高精度な地図を完成させている。日本で初めて実測地図を作製した伊能忠敬は誰もが知る歴史上の著名人であるが、こうした人物がいたことに驚かされるとともに、測量方法などの歴史も垣間見ることができる等、単なる偉人の紹介ビデオ以上のものがある。
    地図の比較や専門家による測量道具の解説が行われるなど、幅広い年齢層に理解できるよう工夫されている。また、日本語字幕付も作成され、音声を聞かなくとも十分内容が把握できるほど大変上手に取り纏めている作品である。

    総務省自治行政局地域情報政策室長 井上知義
    ふるさと富山の偉人 石黒信由~江戸時代に精密な地図を作る~
    作品時間:18分46秒(1M)
  • 優秀賞
    小海の小さなアーティストたち
    選評

    長野県小海町高原美術館がアメリカ西海岸を拠点に活躍する6人のアーティストを招聘して、地元小学生を対象に行ったワークショップの内容を紹介する作品。まず、6人のアーティストは高原美術館をカンバスにして自由な創作活動を行う。作品ではアーティストたちの真剣な表情を追うことで彼らの作品に取り組に真摯な姿勢を描き出している。
    次いで、地元の小学校に招かれたアーティストたちは小学生とともに創作活動を行う。プロのアーティストたちと触れ合いながら創作の喜びに感動する小学生たちの笑顔が生き生きと描き出されている。そしてこの作品のテーマである「自由な発想」の大切さが十分伝わってくる。何よりも、アメリカ西海岸のアーティストを招き、企画展を開催し、地元の小学生と交流させるというグローバルな発想が素晴らしい。
    この作品は受賞作品中唯一の静止画作品である。静止画の特性である瞬間を「固定」することにより人物の表情が生き生きと表現されている。また抑制された色調は作品を格調高いものに仕上げている。静止画の特徴を生かした秀作である。

    プロデューサー 澁谷康生
    小海の小さなアーティストたち
    作品時間:9分18秒(1M)
  • 審査員特別賞
    石見の里の宮神楽
    選評

    勇壮、華麗、「八調子」と地元ではいうらしいが、現代のリズムにも通ずるような早いテンポの舞をクローズアップで追って見事だ。斎灯と呼ぶかがり火を炊いて、神様を迎える。やがて、白装束の青龍、朱雀、白虎、玄武という神さまが降りてこられる。古事記や日本書記で知られるシーンが展開し、特に八岐大蛇が神楽殿いっぱいにとぐろを巻き、スサノオと戦い成敗されるところなど、ダイナミックな映像だ。
    特産品の石州和紙を使った面(おもて)や大蛇の腹が、伝統の手ざわりを伝えている。神楽を受け継いできた石見の里の田園風景、日本海に映える月の映像もデジタル・ハイビジョンを活用して美しい。
    明治維新で、神職の舞うことが禁じられてから里人たちに受け継がれた石見神楽、若い踊り手たちが金糸銀糸のきらびやかな衣装を着て汗を流し、懸命につとめているさまは、神楽がそこに住む人々の暮らしにしっかりと結びついてきたことを描いてもいる。

    NHK副会長  永井多恵子
    石見の里の宮神楽
    作品時間:17分23秒(1M)
  • 地域文化デジタル化推進協議会会長賞
    神と人が交わるところ
    選評

    1200年の歴史を持つ青井阿蘇神社の年中行事を丹念に取材したアーカイブ的な意味合いの強い作品です。行事のために用意された品々や神事の所作などを、ひとつひとつ丁寧に取材しています。このこと自体は当たり前のことですが、それらの映像にその意味や由来が過不足なく説明されており、この記録映像の価値を高めています。
    多くの行事がでてきますが、中でも50年に1度の神事「大寶御注連(たいほうおんしめ)」は、前回の様式ではなく、古式で行われた明治39年の様式を元にしているとのこと。文字で残された記録を元に、近隣の類似事例を参考にしながら再現されたそうです。この映像作品によって、50年後の次回にこの再現された様式が伝わるといいなと思います。

    (株)NHKエンタープライズ
    エグゼクティブプロデューサー
    寺田一教
    神と人が交わるところ
    作品時間:50分02秒(1M)
  • 奨励賞
    芦屋釜~その製作技術と美~
    選評

    一度、失われた技術を復元することは並たいていの事ではない。ましてや近代遺産のように文献や資料が豊富にあるものと異なり古代中世の技術・製品の復元は一から手探りのものとなる。本作品は茶人には垂涎の<茶の湯釜>として知られる北九州・遠賀川河口にある芦屋釜の復元製作の映像記録である。わずか2ミリの厚さ、均整のとれた形、鮫肌文様など様々な特長を持つ芦屋釜は一作で数カ月以上かかる(紹介されている作品は4か月)。鋳物のプロセスを知らない者にとって工程の複雑さに驚かされる。特色ある釜を生み出した芦屋町は大陸との交流拠点で、良質な鉄分を含んだ川砂などを背景に鋳物町として繁栄した。この技術は何故か江戸期に入り突然消え去ってしまった。今回の芦屋釜の復元は単なる伝統技術の復活にとどまらず、町の文化コミュニティ活動「芦屋釜の里」として位置づけられており、CI(シティ・アイデンティティ)作りとしても注目される。伝統技術の復元も興味深い映像作品で、幅広い層に視聴を勧めたい。

    株式会社メディア開発綜研 代表取締役社長 菊地 実
    芦屋釜~その製作技術と美~
    作品時間:27分19秒(1M)
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