第7回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第7回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    旭座人形芝居
    選評

    福岡県八女郡黒木町の山村に伝わる人形芝居。32所帯90人という小集落にこれほど本格的な人形芝居が保存されていることにまず驚かされます。3人遣いの人形の操作は互いに息が合わなければ出来ない高度な技術でしょうし、浄瑠璃の習得も大変な努力と才能が必要でしょう。それを小さな集落でどうやって伝承してゆくかは大問題の筈です。
    作品はこうした驚異的な努力を気負うところなく淡々と描いています。それでも保存会の人々の情熱、指導者の力量、地元の文化継承への子供たちの熱意などは画面からひしひしと伝わってきます。こうした映像制作に手慣れたこの制作者(RKB 映画社)らしい安定感のある演出です。
    大阪文楽座の人形浄瑠璃のような日本の伝統芸能が孤立したものではなく、こうした地域の伝統文化の土壌に支えられて来たことが良く理解出来ました。

    プロデューサー  加藤 辿
    旭座人形芝居
    作品時間:27分45秒(1M)
  • 優秀賞
    つなぐ江戸川区無形文化財 篠崎浅間神社幟まつり
    選評

    この作品は東京都江戸川区の篠崎浅間神社で2年に一度開催される勇壮な奇祭「幟祭り」の全容を記録した作品である。「幟祭り」は重さ1トンの大幟を人力で10本立てるという勇壮な祭りで全国に他に類のない祭りである。今回は例年になく大勢の参加者を得て盛大に行われた。だが課題は山積みであった。最大の難関は若手の不足により長い間続いてきた継承が途絶え未来に繋ぐことが難しくなったことである。作品ではこの課題を克服するための担い手たちの努力が浮き彫りにされている。特に幟会・町会・自治会の多くの参加者を得るための努力が克明に描かれ感動を持って伝わってくる。今回は幟会の発案で伝統ある祭りの開催日を変更し参加者の集まりやすい日程に変更している。これは伝統の時代への順応という素晴らしい知恵である。そして伝統に縛られことのない日程変更という工夫が多くの参加者を得て今回の祭りを成功に導いている。郷土の誇りとして幟祭りを未来へ繋ごうという担い手たちの熱い想いが作品を通して伝わってくる。祭りに参加した未来の担い手である子供たちの笑顔に明るい未来を見た思いである。「つなぐ」ことの大切さが作品の中で十分に表現されている秀作である。

    プロデューサー  澁谷康生
    つなぐ江戸川区無形文化財 篠崎浅間神社幟まつり
    作品時間:27分00秒(1M)
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    国府祭(こうのまち)
    選評

    国府祭は「こうのまち」と呼ぶようだ。平安時代、大磯町国府に近い棚田大明神に相模の国の主要5社を併せ祀って、総社六所神社とする改革があったようだ。集められた各社はそれぞれ上座を占めようと争ったという。その故事を伝える千年以上続く祭事である。
    作品は静止画でその一部始終を伝えており、臨場感溢れた祭事の記録となっている。動画HV、DVD作品が多い中でこうしたスチルも捨て難い魅力があるし、経費的にも安く上がりそうだ。大磯町がこうした民俗文化財を大切にしている姿勢に敬意を評したい。相模の歴史を今に伝える大切な記録である。

    NPO法人地域文化アーカイブス理事長  高島秀之
    国府祭(こうのまち)
    作品時間:9分05秒(1M)
  • 審査員特別賞
    帰ってきた国宝武人ハニワ ~古代ぐんまのナゾに迫る!~
    選評

    素材が魅力的である。番組の中でも紹介されている通り、図案に採用された切手や映画「大魔神」など、誰もがどこかで見たことはあるが、よくは知らないこの「武人ハニワ」。そのディテールを改めて見せられるほどに魅力的であることがわかる。
    この番組では「発見された場所」や「誰が何のために作ったのか」といった「武人ハニワ」の基本的な情報をおさえストーリーを進めながら、実は群馬県(この番組の提供元)は多数のハニワを出土している、いわば"ハニワ大国"であることに言及していく。それはハニワが生産された古墳時代から、この地域には有力な豪族が住み、山と川を中心とした大地の恵みによって繁栄していた、というところへ繋がっていく。いつの間にか「武人ハニワ」の魅力が群馬の魅力に重なっていくのだ。
    番組は博物館で行われた「ハニワ展」をピーアルするためのもののようだが、この番組を見て、博物館を訪れた視聴者は多かったのではないか。

    (株)NHKエンタープライズ
    エグゼクティブ・プロデューサー
    寺田一教
    帰ってきた国宝武人ハニワ ~古代ぐんまのナゾに迫る!~
    作品時間:29分02秒(1M)
  • 奨励賞
    仙台箪笥
    選評

    ものみな安さをコンセプトにした大量工業製品が一世を風靡しています。仙台箪笥はそうした大量生産品とは対極の存在です。職人技というと一人で全ての工程に携わると思われがちですが、幕末から作られている仙台箪笥は指物(木工)、漆塗り、金具と完全な分業体制になっています。この作品はそうした分業の一つ一つを丁寧に撮影しています。中でも何度も重ね塗りを行う漆塗りには感動すら覚えます。最後の工程は鹿角の粉を塗り漆も素手ですり込みます。漆が塗られる度に木の質感が変化し最後はあの仙台箪笥の重厚な質感となります。装飾金具も一枚の鉄板から丁寧に切り出され、複雑な工程を経て完成します。職人の丁寧な仕事をきっちりと捉えた佳作です。

    株式会社メディア開発綜研 特任研究員 菊地 実
    仙台箪笥
    作品時間:30分56秒(1M)
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