第8回全国地域映像コンクール受賞作品歴代受賞作品紹介

第8回全国地域映像コンクール受賞作品

  • グランプリ
    越中文学散歩-ふるさとの作家が綴るとやま-
    選評

    2005年度の第4回本コンクールで、立山信仰と女人救済儀式を描いた「布橋大勧請」でグランプリに輝いたグループが、またまたの快挙です。
      ふるさとが育んだ文学と風土の関わりを探る文学散歩は各地にありますが、この「越中文学散歩」が扱っている作品数は、「万葉集」大伴家持に始まって、最近の小説や現代詩に至るまで19編。まずはこれだけの数の文学作品を一つの番組にまとめ上げた力量に敬服します。
      普通、このような番組で多くの素材を扱おうとするとどうしても羅列的になって散漫な印象を与え勝ちですが、この番組ではそれぞれの作品のテーマやプロットをあえて捨象し、ひたすら作品に描かれた自然だけにフォーカスする事で乗り越えています。
      それと随所に映し出される自然の美しさは圧巻です。富山湾から見た立山連峰の夢のような姿はまるで魔女の住む氷の山のようですし、懐かしい村里の風景は日本人の心の中にある景色そのものです。いずれもスケジュールに縛られる制作者が撮影できるものではなく、地元ならではの利点を最大限に活かしています。
      これからも地域の素材の探求と発掘をつづけ、良い作品を制作して下さい。

    加藤審査員
    越中文学散歩-ふるさとの作家が綴るとやま-
    作品時間:23分27秒(1M)
  • 優秀賞
    こちら豊島区役所です!「雑司が谷 わが町」
    選評

    東京都豊島区の魅力ある町「雑司ヶ谷」を紹介する作品である。雑司ヶ谷の「雑」という文字をキーワードとして雑司ヶ谷を様々なものが雑(まじわる)町として魅力的に描き出している。作品では雑司ヶ谷に住む人々の視点から町の祭り、伝統、人々の結びつきが語られている。特に法明寺(鬼子母神)の住職の語る鬼子母神のお会式や演劇公演の場所として今も昔も先端文化の発信地である鬼子母神境内の役割は興味深い。また、地元に勤務する若い女性の視点から捉えた雑司ヶ谷の新旧の魅力は説得力がある。彼女たちの地元の結びつきを強める活動や雑司ヶ谷の魅力を発信している姿は感動的である。「雑司ヶ谷」を愛する制作者のメッセージが作品に見事に反映している。雑司ヶ谷は訪れて見たい町である。

    渋谷審査員
    こちら豊島区役所です!「雑司が谷  わが町」
    作品時間:15分01秒(1M)
  • 地域文化アーカイブス理事長賞
    備中漆掻き
    選評

     備中は古来漆の産地として知られていたが、ダム建設により消滅寸前の状況となる。その衰亡を憂い、林原共済会と県郷土文化財団が協力して、平成に入って漆の植栽を開始した。
      作品は、漆を植栽し、採取する過程を丹念に描いている。「漆芸」を描いた映像は多いが、それを支える漆の採取を描いたものは珍しい。牛乳瓶1本程の漆の液を採るために、10数年育てた木を切り倒し、また新しい植栽を始めるとは驚きである。この作品は漆かきという地味な行為を丹念に描くことで、地域の漆復興にかける熱い思いが伝わってくる。これは単なる漆かき映像ではない。背後にある漆に賭ける地域の情熱を伺わせる秀作である。

    高島審査員
    備中漆掻き
    作品時間:14分45秒(1M)
  • 審査員特別賞
    左義長
    選評

     「左義長」という変わった名前の祭りは東京周辺では殆ど消えてしまった小正月行事です。正月14-15日というと「成人式」の方がマスコミを賑わしています。しかし、年配の方なら「どんどやき」「さいとばらい」という火祭りを御存知だと思います。
      大磯では町を挙げて左義長がおこなわれ、中でも本作品の南下町、北下町は大規模で重要無形文化財に指定されています。子供達が藁で作った「御仮屋」に籠もり餅を食べ、この御仮屋を七福神のように人々が巡ります。
      祭りは海岸での9つのサイトに火を入れたところでクライマックスとなります。静止画作品だけに左義長を時間順でおい、わかりやすい構成の作品になっています。それにしても花火は別にして、首都圏でこんなに大きな火祭りが残っているのは驚きです。

    菊池審査員
    左義長
    作品時間:8分19秒(1M)
  • 奨励賞
    那須塩原市指定無形民俗文化財 関谷囃子
    選評

     約150年の歴史のあるお囃子だそうで、明治35年に一端途絶えた後、昭和25年に復活し現在に至っている。どういう形で復活させたのかは語られていないので分からないが、想像するに、ある意味で一から作り上げ、現在も創意工夫をしながら発展的に伝承しているのではないか。150年前から続くような堅苦しい決まり事の類からは自由なのではないかと感じた。その自由さが、青年団や子供囃子、また町の人々の祭りに対する好意的なコメントに現れているように想像した。(違っていたらごめんなさい)
      お囃子の練習風景やお祭りの準備、本番時の様子が、かなり長めに収録されている。記録映像として意図的にそうしているのだと思われるが、映像作品としてはやや冗長に感じた。これまでにこのコンクールでも、無形文化財の記録映像では、時折そういった作品が出品されていたが、それを映像作品としてどう評価するかは毎回悩むところである。
      音の処理についても記録として考えた結果だと想像するが、BGMを使わず、お囃子を含む現場音とインタビュー、ナレーションのみで構成しているのが斬新である。

    寺田審査員
    那須塩原市指定無形民俗文化財 関谷囃子
    作品時間:38分09秒(1M)
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